家族じゃないから出来ること
現在、定期的にお伺いしている高齢者世帯の奥様は
「もう、断捨離は出来ているんです」と
おっしゃりながら“整理がしたい”というご要望でした。
もう食器も夫婦で使うだけにして
着るモノも季節ごとの下着が3枚ずつ
普段着のトップスが3枚、ボトムが3枚、割烹着が3枚
靴下やタオルも使うモノだけにして
本当にモノを手放しました・・・
「それは凄いですね!
現在のご高齢の方は戦争や災害でモノの無い体験があるので
なかなか捨てられないんですよ。
思い出のモノも多いですしね」
そんな会話から
“整理収納アドバイザーの出番はないんじゃないか?”と
お話しを伺っていました。
奥様のお話しは
主人が体調をくずした時は精神的にも辛くなり
老人ホームに入ろうかと施設の見学に行ったこともあるんです。
でもどんなにキレイで立派な建物でも
ここに入ったら何でも自由にはできなくなるんだと思って
主人も「こんなところは嫌だ」というから
施設に入るのはやめようって帰って来たんですよ。
それで、人の手を借りながらでも、
なるべく長く自宅で過ごしたいと考えたので
出来ない事を手伝って欲しいんです。
というのが
整理収納ボランティアとして
市の社会福祉協議会に登録している
私へのご依頼の概要でした。
それから週に一度お伺いして
ご主人様のお部屋の片付けやお掃除を手伝ったり
扱いがわからなくなってしまった
家電の使い方をレクチャーしたり
引落しがある口座を解約してしまったために
改めて口座引落しの手続きなどをお手伝いをしながら
1ヵ月ほどが経った頃
物置小屋の整理をして不用品を運んで欲しいとのご相談があり
何週間かに分けて地域のごみ処理場へ不用品を運搬
運んだモノは
返却した畑で使っていたコンポスト
古くなって破損した園芸用品や農業資材
何年も放置した布団
なかなかご主人様が手放せなかった冷凍庫
ご主人様にとっては
何年ものあいだ楽しんできた家庭菜園を
ご病気以降の体力的な事を考慮し
あきらめなければならなかったうえに
野菜や果物の加工品を保存しておく
収穫の喜びの象徴だった冷凍庫の処分は
10年も決心がつかなかった案件だったそうです。
奥様が何度も「捨てましょう」と言っても決心がつかず
ご主人様一人では物置小屋の真ん中で考えてしまい
片付けられなくなっていたものが
家族ではない第3者が一緒に片付けを手伝う事で
一気に整理ができたことを
お二人ともとても喜んでくださいました。
今では返却した借地の畑の代わりに
たくさんのプランターを並べて
無農薬のお野菜をまた作り始めていらっしゃいます。
ご主人様は
今度は何を育てようか?とか
年のせいで不便になってしまった住まいを
どうやって直そうかを考えて
毎日を楽しんでいらっしゃるそうです。
一時は、ご主人様が
このまま認知症になってしまうのではないかと
本当に不安に思っていらした奥様も
豆を挽いてコーヒーを淹れる余裕も失くしてていたことに気が付き
新しい電動ミルを購入し自宅喫茶を楽しむようになったそうです。
今回のご依頼では整理収納のスキルを必要としませんでしたが
私にとっても
整理収納が人のメンタルにどれだけ深くかかわっているのかを
改めて確認できた作業でした。
一つ一つのご依頼に感謝しています。
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